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1-2 コミュニケーションの成立要因と分析のチェックポイント
1.コミュニケーションの構成要素
1)図3に示すとおり、言語学の分野では、コミュニケーション(やりとり)の構成要素には「情報の送り手」「情報の受け手」「両者の接触」「メッセージ」「コード」「コンテクスト」の6つがあると言われている。
2)社会学者大澤真幸は「他者・関係・コミュニケーション」(岩波書店、1995年)の中で、「コミュニケーションの可能性を保証しているのは、受け手と送り手に共有されているコードであって、それはメッセージを解読する規範である」と述べている。
3)「メッセージ」とは、伝えようとすること、送り手の志向内容、すなわち「提供する情報内容」である。「コード」とは、符号の体系、おきて、作法、すなわち「表現上の約束事」である。
「コンテクスト」とは、前後関係、文脈、外的な現実、すなわち「情報授受を取り巻く状況」である。
4)このように、コミュニケーションが成立するためには、この6条件が必要とされ、とりわけ「両者の接触」があることと、ひとつの文化体系の中で共有されている表現上の約束事としての「コード」が示されていることが重要である。

 

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2.施設計画におけるコミュニケーションの成立要因
1)ターミナル駅など特定施設の利用を前提とした、情報コミュニケーションを成立させるための案内手法には、一般的には次の種別などがある。
a.人が実際に案内を行う(人的手法)。
b.パンフレットや録音テープなど、持ち運びできる機能とサイズを持ったツール(手に持てる小さな道具)で案内する(ツール手法)。
C.ビジュアル・サインや放送など施設の空間的な位置の中で、設備的に対応して案内する(設備手法)。
2)それぞれの案内手法が、コミュニケーションとして成立する要因を考察すると、次のように述べることができる。
3)基本的に「情報の送り手」は施設の計画側で、「情報の受け手」は利用者である。
4)「情報の送り手と受け手の接触」が成立するためには、
a.人的手法では、案内する人がすぐに見つかるなど、実際に両者が出会える状況をつくり

 

 

 

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